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ドーピングって何
ドーピングって何
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競技スポーツは勝負であり、勝った方がいいということに間違いはないのですが、どうしても勝ちたい、勝たせたいという気持ちが強くなりすぎると、そのためには手段を選ばないという人も出てきます。ドーピングとは、スポーツ医・科学の知識を悪用し、競技をするにあたって自分に有利になる不自然なこと、不正なことを実行することです。多くの場合、特別なクスリを使って実力以上の競技能力を出そうというのがドーピングです。まじめにトレーニングをしている選手からみれば、これは「ずる」以外のなにものでもありません。 | ||
競技スポーツは、一生懸命トレーニングしてきた選手たちが、一定のルールのもとで 正々堂々と競技するからこそおもしろく、その結果、勝者は讃えられ、敗者には惜しみな い拍手が与えられます。またスポーツに関わる人が社会において大切にされるのは、まじ めに努力をして目標を達成していくというスポーツ活動を通じて、すぐれた人間性と社会 性を備えているからと考えられているからです。しかし、スポーツにおいてクスリを使っ た不正行為がまかり通るようになったら、勝ち負けそのものが意味のないものとなり、ス ポーツは、単なる見世物になってしまいます。ドーピングがよくないのは、第一にそれが スポーツの健全さを損ない、価値を低め、スポーツをだめにしてしまうからです。 もちろんその他の理由として、クスリがからだに悪影響を与える可能性があるというこ とがあります。そもそもクスリには必ず副作用があり、健康なスポーツ選手が病気でもな いのにクスリを使うというのは医学的にみても大変よくないことです。 | ||
図2:ドーピングで使われるクスリ
・興奮剤:「火事場の馬鹿力」を出させようとするクスリ。無理がたたった死亡例もある。 ・麻薬:痛み止めとして使用される。やめられなくなり廃人となることもある。 ・タンパク同化剤:いわゆる筋肉増強剤。肝障害、不妊、男性化などの副作用がある。 ・利尿剤:体重別競技での無理な減量や他のクスリのドーピングのごまかしのために使用。 ・ペプチドホルモン:成長ホルモンなど。種々の副作用がある。 |
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ドーピングコントロールの目的は、ドーピングを防止することによって、まじめな競技 選手が正当な競技結果を得られるようにするというものです。オリンピックなどの大きな 国際大会では必ずドーピングコントロールが行われます。具体的には、全選手の中から選 抜された者に対し、競技終了後に尿検査を行い、その中にドーピング禁止物質が含まれて いないかどうかを調べます。血液検査が行われることもあります。 | ||
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禁止物質が発見された 場合は失格となり記録は取り消されます。また発見されたクスリの種類によって、その後 一定期間の出場停止の処分が課せられます。
このようにドーピング検査の結果はときに選手生命を左右することになるので、きわめ て厳重な管理のもとに行われます。例えば、ドーピング検査の通知を受けてから検査室に 来るまでの間、選手にはエスコート係の監視が付きます。エスコート係は選手が何かごま かしをしないように、また誰かが選手にわざと禁止物質を飲ませたりしないように見張っ ています。 |
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図4:尿サンプルは選手自身によって厳重に封印される | ||
トレーニング期間のみ筋肉増強剤を使用し、競技会前になると使用をやめる選手がいる ため、競技会外抜き打ち検査というものもあります。これは前もっての予告なしに検査官 がトレーニング場所に現れて検査をするというものです。 | ||
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主催:IOC医事委員会バイオメカニクス・スポーツ生理学専門委員会 | ||
企画・構成:冬季スポーツ科学研究会 | ||
執筆者:鈴木紅、太田美穂、武藤芳照(日本水泳連盟医・科学委員会医事部) | ||
イラスト:桐井聖司 |